ピアノを弾く際、5本の指で、両手合わせて10本の指で、全部均等に綺麗な音が出せたら便利ですよね!しかしそうはいかないのが現実の常です。
実は5本の指は、司っている神経が二手に分かれており、ピアノを弾くには、親指、人差し指、中指、の3本は、割と上手に動かすことができ、安定した音を出すことができます。
残りの薬指と小指は、他の3本に比べて弾く力が弱いため、安定した音が出しにくいのです。この2本の指だけ個別のトレーニングを勧めることがあるのは、そのためです。
これがドラムとなると、逆に薬指と小指の方が力強く活躍します。なので、小指だから役に立たない、重要度や力量が劣るということではなく、指の役割が違う、活躍の仕方が違うという解釈をしてください。人間も同じですね。
薬指と小指は握る力、グリップ力に関係しているため、野球のバットや、ゴルフのスイング、太刀の振りなどに直接的な影響を及ぼします。
試しに片方の手で、もう片方の手の小指を握って自由を奪ってみてください。
自由を奪われた方の手は、握る力がものすごく落ちるはずです。
このような神経解剖的な違いに加えて、親指は他の4本と違う方向に生えていたり、5本の指はそれぞれ長さが違うし、左右の利き手の違いも音に影響するため、均等に綺麗な音をだすのは、重要かつ難易度が高いのです。
私は音大時代には、教授の勧めで、上の写真のバリグリップという器具を使っていました。バリグリップは、もともとトランペット用の練習器具ですが、ピアノ用の筋トレにも有効で、私は今でもポケットに忍ばせて使っています。
歩きながらでも、バスや電車の待ち時間でも、読書しながらでも、わずかの時間を使っての地道なトレーニングは実力の向上に大いに役立つのです。