アール・ハインズが「チャーリー・パーカーの伝説」という本の中で、「音楽家同士の友情を取り戻したい。」と述べていました。
かつては皆で前進していくために、お互いに教えあって刺激しあった。今では他のミュージシャンが頭角を表してくると、「あいつは何様のつもりだ。」といった反目ばかりである、というのです。
だからかつてのような音楽家同士の友情を取り戻したいと思っている、と。
アール・ハインズがこのことを気にしていたのは、チャーリー・パーカーの成功の思い出を嬉しそうに語る場面だったので、この話は恐らく1940年代から50年代初頭くらい、と推察しています。
話に登場する音楽家はジャズを得意とする黒人。
私はアール・ハインズの文章を読んで「その通り」だと思う一方で、彼が心配していた現象が時代、国籍、人種、音楽のジャンル関係なく発生する類のものであると考えます。
私は電子音楽に没頭する前には、ピアニストとしてジャズの世界で活動しており、その前にはロックの世界にも長く居ました。
私自身が何歳の時でも、どこの国へ行っても、どのジャンルの世界に身を置いていても、このアール・ハインズが心配していた現象は存在していたのです。
すなわちこの現象は避ける事ができず、必ず発生するものなのです。音楽家同士の友情が発生する事も、もちろんありますが、良い事や良い時間は長続きしないのが世の常です。
だから良い事、良い時間、良い人間関係を持続させることは極めて難しく重要なのです。
そういえば、ハーバード大学が「人間の幸せ」について何世代もかけた数十年にも及ぶ長年の研究があるそうです。
その研究によると、人間の幸せにお金は関係なく、人を幸せにするのは「良い人間関係」だそうです。アール・ハインズが願うように常に良い人間関係を維持できるように努力したいものですね。
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